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参加者:普通の通行人

0. はじめに

 休校で自習しろという圧力が高まっていそうなまさに今日この頃、国会質疑について調べてみませんか?でも国会会議録は更新が遅いし中継を見る時間もない…。そもそも長くて見てられないという人も多いはず。そこで公式で質疑内容をまとめているページの紹介だけしたいと思います。興味ある人の中にはそんなことは既に知っているという方も多いかもしれませんが…。

1. 前提の確認

ちょっとだけ国会の仕組みを確認しておきましょう。長いので面倒なら「2委員会ニュースと質疑項目」まで飛ばしてください

 

(1) 本会議と委員会

  法案提出 → 委員会 → 本会議 → 委員会 → 本会議 → 法律成立

衆議院か参議院で提出され法案が委員会で採決され本会議で採決、そのあと別の議院でも同じことを繰り返してやっと法律が成立するという流れですね。この辺、参議院のページ(https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/html/shikumi/houritsu.htmlの図でも見てください。

 

 ところで、わが国では委員会中心主義を取っていると言われています。つまり法案審議は基本的に委員会で行われているということですね。そもそも現状本会議の形式は議論に向きません。会派を代表する質問者は1回しか登壇できないのが普通ですし、回答者もそれに対して1回ずつしか答えられません。こうなると1回の質問に多くの論点を含み長くなるのが必然ですし、それに対する回答も言いっ放しになりがちです。演説に演説で返す感じですね。そして今や本会議で法案が修正されることはレアです。本会議は儀礼と揶揄されるゆえんです。

対して委員会は法案審査の主戦場です。ここを通ったらほぼ法律が成立すると考えても間違いではないでしょう。なお今国会に常設されている常任委員会は衆参ともに17ありますが、必ずしも両議院全て同じではありません。各委員会の所管ですが、大体各省庁に対応していると考えておけばOKでしょう。ちなみに国会は政局ではなく政策論議の場だという意見をよく聞きますが、そもそも委員会は先ほど書いたように政局・政策以前に法案審査の場ですからスキャンダルがなければ普通に提出法案の解釈についてすっっごく地味な議論をしていることもままあります。一応委員会は日ごとにテーマが決まっていて提出法案がテーマになったりしますので、そこまでバリバリ対立するような法案・議案でなければ細かな話になりがちなのは自然でしょう。当然そんなのは撮れ高がないので報道されません。ただし、帝国議会以来の慣例で予算委員会は管轄やテーマを気にせず比較的自由な討論が行えます。実は過去には自由討議制というものもあったのですが、これが廃止されたのは予算委員会で事足りるという部分があったのでしょう。

 

 もう1つ重要なのは全国会議員は何かしらの委員会に所属しているということです。以前、「ツイッターで愚痴っているくらいなら国会で質したんだろうな?そうじゃないなら真剣に考えていない証拠だ」などと非難している人を見かけましたが、その問題に関連している委員会に所属している議員でなければ質問しにくい立場なのを理解しましょう。予算委員会ですら所属委員という概念があります。例えば、国土交通委員会所属の議員がコロナ関連の質問をするのはなかなか難しいでしょう。強引に国土交通委員会でするにしても当該委員会に参加する政府関係者って普段は首相や厚労大臣でなく国土交通大臣でしょう。大抵の場合、国交省に関係ないコロナの質問をしても意味ないですよね?

(2) 会派

 基本的に議院内では政党ではなく会派で動きます。実は質問時間の割り当ては政党でなく会派ごとなのですね。まあこの時間割当制って根拠怪しいらしいんですけど(衆議院規則45条、参議院規則42条参照)。とりあえず実際に会派を見てみましょう。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/201/giinsu.htm

 

 衆議院では「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」、参議院では「立憲・国民.新緑風会・社民」とあるのが分かるでしょうか?このように会派は衆参で違う場合があります。あと改めて立憲・国民・旧民進・社民あたりが同一会派を組んでいると分かりますね。

 

 ここで留意すべきなのは議会での質問はその議員の問題意識や党の戦略だけでなく会派内での調整が関係している可能性があるということでしょう。つまり会派内部でも役割分担がされている可能性はあるのです。であれば、会派と政党が必ずしも一致しないのだから政党ごとに傾向を調べてもどこまで実態を反映しているかは慎重に考えなければなりません。付言すれば、自民党・公明党は同一会派ではありませんが連立与党ですから事前に質問内容が被らないよう調整している可能性もあります。実際自民党・公明党を代表して質問するという形式を取ることもありますね。

 

2. 委員会ニュースと質疑項目

さてどんな質問がされているか記載されているページですが、衆参で異なります。衆参は一応異なる組織なのですね。実際バッジも違うし。昔は参議院自民党が衆議院自民党と別行動を取ることもありました。本題に戻ると衆議院では「委員会ニュース」、参議院では「質疑項目」という場所を見るのがおすすめです。実はどちらも即日更新されるわけではないのですが…。会議録の更新よりは早く、質問要旨がまとまっているので便利です。

 

(1) 衆議院:委員会ニュース

衆議院トップページ中段の「本会議・委員会等」タブの「委員会等」 委員会ニュース

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/IinkaiNews_m.htm

こうすると今国会の委員会ニュースを見ることができます。下の方に行くと過去の国会での委員会ニュースも見ることができますね。委員会ニュースでは委員会の審議過程と質疑があればどの会派の誰がどのような質疑をしたのか見ることができます。

 

(2) 参議院:質疑項目

 参議院トップページ右側の「今国会情報」 各委員会の「質疑項目」

 (今国会情報:https://www.sangiin.go.jp/japanese/kon_kokkaijyoho/index.html

 ここを見ると委員会の議題とどの会派の誰がどのような質疑をしたのか見ることができます。審議過程が見たければ「今国会情報」の「委員会経過」を見れば「参議院広報」のページに飛んで調べることができます。

 

 昔の質疑項目を調べたい場合は「今国会情報」のすぐ下にあるライブラリーを押してみてください。

(ライブラリー:https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaiki/index.html


3. 実際に調べてみよう

ところで3/4と言えば何があった日かご存じでしょうか?そうです、参議院予算委員会で立憲民主党の福山議員が「時間が余ればコロナ対策もやります」と発言した日ですね。これは各所で話題になりましたし、言わば事情通のDAPPI大先生も度々話題にしています。


 これは許せませんね!コロナをやらないなんて!立憲民主党がどれほど醜悪かここで白日の下に晒そうではありませんか!なお元のページには会派だけで所属政党が記載されていませんが立憲・国民については私調べで記しておきます。


中西 哲 君(自由民主党・国民の声)
・河川堤防に関する事前防災対策の充実
・3か年緊急対策終了後も継続して国土強靱化を進める必要性
・改修後のF-15の能力を踏まえた戦闘機配備の重要性
元榮 太一郎 君(自由民主党・国民の声)
・千葉県等における令和元年の台風等被害の現状と復旧復興の加速に向けた政府の取組
・パリ協定の目標達成に向けた二酸化炭素排出削減の取組及び環境ビジネスの成長産業化
・ユニコーン企業育成に資する有償ストックオプションの会計処理の在り方及び社外取締役活用促進の必要性
石橋 通宏 君(立憲・国民.新緑風会・社民) 立憲
・PCR検査の実施状況及び検査体制の現状把握の重要性
・学童保育所、介護施設等に早期にマスクを供給する必要性
・新型コロナウイルスに係る休業への労基法第26条の規定の適用

福山 哲郎 君(立憲・国民.新緑風会・社民) 立憲
・消費税率引上げ及び新型コロナウイルス感染拡大が経済に与える影響
桜を見る会前夜祭における夕食会の価格設定の適切性 
・予算事業の実施要綱改正の趣旨と新型インフル特措法の適用の可否との整合性
森 ゆうこ 君(立憲・国民.新緑風会・社民) 国民
・新型インフル特措法に追加すべき新型コロナウイルス感染拡大への政府対応策
・AI等を活用した学校の一斉休校要請の効果検証の必要性
・新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響を鑑みた令和2年度予算修正の必要性

竹谷 とし子 君(公明党)
・新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的損失への支援策
・マスクの生産、在庫状況に関する情報をオープンデータとして提供する必要性

・治水安全度に基づく治水対策推進の重要性
片山 大介 君(日本維新の会)
・新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえた休校からの学校再開判断
・フリーランスや自営業者も対象とした所得補償支援策
・現場の声に応えるマスク供給及び情報提供の必要性

倉林 明子 君(日本共産党)
・学校等の臨時休業に対する助成を円滑に実施するための周知徹底
・新型コロナウイルス感染拡大によって発生した生活困窮者への生活保護適用の必要

田村 智子 君(日本共産党)
・48ホールディングスへの行政処分内容
・48ホールディングスとの交流の妥当性及び被害拡大との関連 https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/shitsugi/201/s027_0304.html


……。

……。もう!野党はしっかりして!

4. おわりに

とはいえ、この方法だけだと必ずしも調べきれるわけではありません。特に参議院の質疑項目のページは衆議院の委員会ニュースよりも内容が浅いのです。少し上にあったDAPPI大先生が引用している真山議員の発言について調べてみましょう。ググれば分かる通り真山議員は法務委員会所属の参議院議員ですから恐らく3/24の発言は参議院法務委員会での発言だろうと予想できます。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/shitsugi/201/s065_0324.html

 

ここの質疑項目を見ると真山議員は森友について全く質問していないように見えます。ところが参議院のインターネット審議中継のアーカイブを見ると「新たな証拠が発見された場合の検察の捜査の在り方」という項目は実際のところ自殺された近畿財務局職員の遺書に関連する質問だったのです。「新たな証拠」=「遺書」というわけですね。

 

と言っても質疑項目のページを見ても何も得るものがないわけではありません。そう、この日は恐らくコロナ関連の質問が殆ど出ていないだろうということくらいは分かります。

ただこれはある程度の知識があれば予想できることです。法務委員会はあらゆる法律の内容について審査する委員会ではありません。基本的に委員会は各省庁に対応していると既に書きました。つまり法務委員会は法務省の管轄や司法の在り方に関する議論を行う場なのです。もちろんコロナに関わる領域もあります。例えば入管は法務省の管轄なので入国規制については法務委員会で実際に関連した質疑が出ています。

 

つまり結局はリテラシーも重要なんですね。私もリテラシーがあるかといえば微妙です。正直この記事も何か間違えてるんじゃないかと心配になるレベルです。というわけで、みなさん、政治リテラシーを上げて行こう!(なんJ政治ネタまとめ並感)



補記

国会について学びたい人は

大山礼子『日本の国会――審議する立法府へ』(岩波書店、2011

あたりが定番なんでしょうかね。今回もちょっと参考にしました。国会の制度、歴史、問題点、改革提言とざっくりまとまっています。また自民党内部で行われている事前審査制についても簡単に説明があります。党議拘束とも関係する話で国会を理解するには重要な部分ですね。本書最後にある参考文献も参考にしてみるといいんじゃないかな。何か良書があればコメントでもぜひ紹介していってください。