sketch-1620068878956

参加者:アイアンマン

アイアンマンと申します。


今年コロナに感染した友人(アラフォー男性、関西圏のクリニック勤務)の体験をまとめました。コロナについて知ってもらえたら嬉しいです。



発症前2週間~

コロナを警戒し、自宅と勤務先(クリニック)との往復でした。

外出と言えば、近所のスーパーやコンビニ、子どもと近くの公園に行ったぐらいです

(体温36.236.5)


医療機関で勤務をしていると、「患者をみとったら、何度も濃厚接触になるやろう。PCR検査を受けなアカンから大変やな」とよく言われます。しかし、コロナは飛沫感染なので、マスクをしている限り、コロナ患者と長時間いても、濃厚接触者とはカウントされず、検査もされません。ただ、マスクがずれていたりすると、そこからウィルスが入ってきます。感染の不安は、常にありました。


1日目

この日は、休勤日であったため、妻とコーヒーを飲み、ゆっくりと過ごす予定でした。コーヒー豆をひいた時に、香りがしないことが初めて感じた異変です。飲んでも、コーヒーの味がまったくしなかったです。妻は、いつもどおり香りも味もするとのことだったので、急いで、近くの病院の発熱外来に連絡しました。

(体温36.6)


通常の風邪では、鼻づまりなどの鼻炎症状に伴って、嗅覚に障害が発生します。コロナでは、鼻炎の起こる前から嗅覚障害や味覚障害が起こることが特徴です。

詳しくはhttp://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/smell_taste_disturbance/

発熱外来からは、「夕方に、車で来て、駐車場で待っていて欲しい」と言われました。そのため、自宅にいましたが、昼過ぎから、倦怠感が出始めました。


夕方に、自身で車を運転して、病院の駐車場に行きました。車の窓越しに、医師の診察を受けます。

車に乗ったまま、長い綿棒で鼻の奥を擦られ、PCR検査を受けました。

「明日の昼までに、結果が分かるので、連絡します」と言われ、帰宅しました。

(体温36.9)


2日目

朝から、強い倦怠感があり、時おり咳も出はじめました。

(体温37.2)


コロナでは、倦怠感など全身でいろいろな症状が生じることが知られています。その原因として、脳の炎症が考えられています。これは、一般的な風邪ではない症状です。

詳しくは、https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/nhkspecial_1108/detail/detail_01.html


脳炎症


コロナ患者のCT画像。〇で囲った部分が、炎症で白く映っている(Radiology. 2020 Mar 31:201187より改変)


昼前に、コロナの陽性反応の連絡がありました。

(体温36.8)


保健所より、過去二週間の行動の聞き取りが、30分程度ありました。マスクを外して10分以上会った、相手・場所・日時を聞かれました。


夕方ぐらいから、背中を丸めるほどの咳き込みが、1時間~30分に一回ぐらいありました。寝ても、それで目が覚めます。倦怠感は強いのに、寝れない状態です。

(体温:37.2)


コロナでは、軽症のころから、呼吸器で炎症が起こりやすいです。

詳しくは、http://www.rcc-icr.com/post/no-94-新型コロナウィルス感染症はどのような機序で重症化するか


コロナ肺

軽症のコロナ患者の肺CT画像。すりガラス状の白い影があり、肺炎が起きていることがわかります。(神戸市立医療センター中央病院, 2021.May, 在宅でみるCOVID-19 より改変)



3日目

背中を丸めるほどの咳き込みが、2030分に一回ぐらいという状態が続きます。

(体温:37.4)


保健所に相談しますが、入院の対象ではないと事で、午後から療養施設に入ることが決まります。


保健所からは、できるだけ多くの着替えを準備しておいて欲しいと言われましたが、倦怠感が強く準備できません。妻にほぼ全て準備してもらいました。


12時過ぎに、施設名などの書かれてないハイエースで、自宅前に迎えに 来られます。車内は、運転席と座席の間がアクリル板で遮られていま す。タブレットで療養中の注意事項の動画を見せられます。


療養施設は、某大手ビジネスホテルチェーンのホテルを貸しきった施設です。ホテルに着くと、防護服を来た男性に、診察用のタブレット、14回測定用の体温計とオキシメータ(血中血酸素飽和度を測る機械)を渡され、部屋に案内されます。


部屋は、一般的なビジネスホテルの一人部屋で、ベッドにテレビ、浴室、冷蔵庫、wi-fiなどが完備されていました。


到着後すぐに、防護服を着た医師のよる診察と注射がありました。

(体温:37.4 血中血酸素飽和度97%)


ベッドに横になりますが、1時間に一回ぐらい咳で目が覚めることの連続です。


4日目


7:30、館内放送があると、自分自身で様子観察をします(1日に4回あり)。様子観察では、体温と血中血酸素飽和度を測り、自覚症状をタブレットで入力します。

(体温:37.8 血中血酸素飽和度94%)


酸素濃度が低い(正常値96%以上ので、午前中に、防護服を着た医師のよる診察と注射がありました。


12時過ぎに、昼食です。

内線電話があり、所定位置に取りに行きます。防犯カメラで見られているらしく、他の方が部屋に戻った後に連絡があるため、他の人と会うことはありません。


弁当


ある日の昼食です。この弁当と、温かい味噌汁、サラダがついてきます。食欲がないと、粥やアイスなどに変更可能です。


その後は、テレビを見たり、持ち込んだ本を読み、ゆっくりを過ごします。


夜になって、咳は軽いモノがあるだけになり、倦怠感もマシになりました。

(体温:37.3、血中血酸素飽和度98%)


510日目


途中発熱したことがあったものの、だんだんと味覚・嗅覚も戻り、だいぶん元気になってきました。そうすると、暇になってきます。


室内のタブレットで、日用品を注文できます(費用は後日清算)。本を買ったり、スマホゲームをして、時間をつぶしました。

飲み物やカップ麺も購入できるのはうれしかったです。

(ピザなどの宅配やアルコールは不可)


内線電話で予約(ほかの人と会わないために)をすれば、施設の洗濯機も使えます。館内放送で指定された時間に、ドアの前にごみを出せば、防護服を着た方が回収してくれます。


毎日同じ時間に、タブレット越しに、看護師による問診があり、必要に応じて医師の診察も受けれます。医療的な心配はありませんでした


11日目

やっと嗅覚は、いつもどうりになりましたが、味覚はあいまいなままです。

15時の問診で、「明日で、発症後10日かつ、発熱などの症状が治まってから72時間の退所基準はクリアです。何もなければ明日退所です」と言われます。


12日目

何もなかったので、お昼に退所となりました。退所時に、症状が出た 時に対応してもらえる連絡先などが書かれたパンフレットがもらえま す。

職員の方には、感謝の気持ちでいっぱいでしたが、タブレット越しでしか、お礼を言えませんでした。


なお、施設の入所費用は、無料です。


それから1週間ほどして、味覚も戻ってきました。


軽症のうちにコロナから回復しましたが、相当につらかったです。体力の弱った方が感染すれば、大事になると実感します。