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参加者:久路喜之


【はじめに】 「ネトウヨサイト裸祭り」とは、『ヘイトスピーチをばら撒くことで飯を食っている悪質な「まとめサイト」から徹底的に広告を剥がしまくり、丸裸になるまで追い込む無慈悲なお祭り』(※)である。 それは、ネトウヨサイトのラスボスとも言うべき「保守速報」の広告全撤去でピークに達したのち、余勢を駆って当時の「アノニマス ポスト」などを実質的な落城状態へと追いやるほどの一大ムーブメントであった。 ※参照URL:https://seesaawiki.jp/hadakamatsuri/ さて、この「裸祭り」もやがて下火になっていったが、広告主等への通報が完全に停止することはなかった。とはいえ、組織としてまとまっているわけでもなく、個々人が一匹狼的に活動しているので、他の通報者たちがどこで何をしているかまでは詳(つまび)らかでない。そこで、回顧に当たっては、運動がピークアウトした後の私的な思い出を中心に、5つのサイトをピックアップしてエピソードを綴ってみたい。 【黒マッチョニュース】(http://kuromacyo.livedoor.biz ) ここは、とにかく広告剥がしが捗ったサイトである。なぜ捗ったか。それは、ここの管理人が飛び降り自殺の模様を記事にするという愚挙を犯したからである。 実のところ、差別煽動・偏見助長を指摘しても、関係企業等による広告引き上げにまで至らないことも珍しいことではない。しかし、無名の一市民の悲劇を晒しものにして死者の尊厳を蹂躙しているとなると話は別である。当該記事のURLを添えたヘイトスピーチの通報を受け、ほとんどの広告配信会社が賢明にも「黒マッチョニュース」から撤退した。広告収入目当てに人としての一線を越えた代償は、決して軽くはないのである。 【韓国ネタ】( https://bakankokuneta.fc2.net ) 一瞥してわかるように、ここはネトウヨサイトの中でも最低最悪の部類に属する。しかし、管理人にとってはそれが仇となった。「屑在日や糞帰化チョン 」、「ダニやゴキブリほどの命の価値すらないヒトモドキども 」、「37564」(皆殺し)、「バ韓国塵狩り」、「見かけたら即銃殺」などの、ジェノサイド煽動をも含むヘイトスピーチ記事をブログサービス会社に通報したところ、ほどなくして「韓国ネタ」は一つの記事を掲載した。 【緊急報告】当ブログ削除の可能性について http://netanarugazou.doorblog.jp/archives/55289016.html そしてこの後、「韓国ネタ」は存続のためライブドアブログからFC2ブログへと移転し、その際ドメインも変更した。おそらくはそれに伴い、Amazonとのアフィリエイト契約が解消されている。当然、資金の流入も、今ではその分減少しているはずである。 【韓国まとめ速報】( http://kankokumatome.info ) 目立たないながらも典型的な嫌韓まとめサイトだったが、気の向いたときに少しずつ通報しているうちに、いつの間にやら消滅していた。継続は力なり、である。 【せと弘幸BLOG『日本よ何処へ』】( http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/ ) 瀬戸弘幸氏は日本第一党の最高顧問である。代表的な差別煽動団体の悪名高いレイシストが管理するブログではあるが、いわゆるまとめサイトでないこともあり、当該サイトへの取り組みは長い間後回しにしていた。しかし、無傷のままにしておいたら、あたかもネット空間がその存在を容認しているかのように受け取られるおそれがある。そこで、スマートフォンの画面に表示されるバナー広告の企業に、サイト内で「不逞鮮人」「支那人」といった差別表現が用いられている旨を報告し、また、その連絡文を5ちゃんねるに書き込んで気軽に有志が通報できるようにしておいた。こうした活動が功を奏したのであろうか、スマホで開いても、ブログタイトルの真下と記事の末尾に位置している広告欄には、収益が発生しないであろう穴埋め画像しか表示されないようになった。 この2箇所のスペースにあった広告のクリック収入は、おそらく、無償でブログサービスを提供する見返りとしてライブドアブログに計上されていたと思われる。つまり、この広告剥がしでも、ブログ運営者は直接的な損害を被っていないであろう。しかし、「広告が剥がされている」という事態そのものは閲覧者に「このブログは広告剥がしのターゲットである」というメッセージとして受容されているはずであり、そこから生じる(ネトウヨとしての)敗北感からの忌避反応として、今では閲覧回数の減少を帰結させているであろうと推測している。 【日本と韓国は敵か?味方か? 】( http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/ ) ここは楽天アフィリエイトを利用していたけれども、商品画像の扱いがガイドラインで禁止されている「購入サイトに移動することが予見できない掲載」に該当しているとジャッジできたので、その旨を楽天社に通報した。ブログ管理人と楽天との間で若干の(面白くないであろう)遣り取りがなされたのち、最終的に、管理人の側で同社アフィリエイトの利用を打ち切ったようである。 ※詳しくは下記URLの緑文字の箇所を参照のこと。 http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/archives/84396629.html http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/archives/84414447.html 【ネトウヨサイト側の対応】 ちなみに、「裸祭り」側からの攻撃を受けて講じられたと思われるのが、以下のようなネトウヨサイト側の対応である。 ・過去ログの大量削除  「保守速報」( https://hosyusokuhou.jp )  「あじあニュースちゃんねる」( https://toua2chdqn.livedoor.blog )  「国難にあってもの申す!!」( http://kokunanmonomousu.com )  「厳選!韓国情報」( http://gensen2ch.com )  「えら呼吸速報」( https://erakokyu.net )  「正義の見方」( https://honmotakeshi.com ) ・ドメインの変更  「アノニマス ポスト」( https://anonymous-post.mobi )  「Share News Japan」( https://sn-jp.com ) ・サイト名の変更  「我無ちゃんねる」( http://l-o-l.net )※旧「嫌韓ちゃんねる」。 加えて、相当数のネトウヨサイトのコメント欄に、ヘイトスピーチを禁止する注意書きが記載されるようになった。これが通報の口実を与えないためであることは、ここまでの叙述からも容易に察せられるだろう。 【おわりに】 マイノリティへの偏見を助長している輩どもは、元々人権意識が希薄である。ヘイトスピーチに事実上の制限がかかっている現在、こうした連中は、問題を起こしてしまった少年少女の実名の拡散や、発言する女性身障者に対する憎悪感情の執拗な喚起にまで、人権侵犯の領域を広げてきている。これは、「センセーショナルなコンテンツで閲覧数を伸ばせば広告収入も比例して増加する」という構造自体が、基本的に変わっていないせいもあるだろう。その点に関しては、残念ながら我々は非力である。だが一方で、自負するに足る実績も我々は積み重ねてきた。「プレッシャーをかけ続けなければ再び奴らがのさばり出すのではないか」という危惧も杞憂ではあるまい。また、上手く広告を剥がせたときの快感・達成感はちょっとなかなか他にはない種類のものである。そういうわけで、展望らしい展望も今はないけれど、まだまだ祭りは終わらせられそうにない。 そこにネトウヨサイトがある限り。 (文責/久路喜之: on Twitter)